枕草子の中に、「冬はいみじうさむき。夏は世に知らずあつき。」とあるように、冬の底冷え、夏の蒸し暑さは京都の風物詩の一つです。これには、東・北・西の三方を山に囲まれ、南に開いた内陸盆地という特有の風土に加え、数万年前、京都は湖底であったことに起因しています。
断層によって陥没した太古の湖に、山々から土砂が運ばれ、さらに地層の隆起により、京都盆地が形成されました。現在、神泉苑と深泥池だけがその太古の湖の名残としてありますが、京都は今もなお地下深層からの湧水が豊富で、極めて湿潤な環境となっています。これら京都独特の風土により、冬の底冷え、夏の蒸し暑さ、それに対照する穏やかな春と秋という、山紫水明である京都という土地が特色付けられています。
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京都はしだれ桜が府花でもあるように、美しい桜の名所が各地にあります。春の訪れを告げる桜の開花に合わせて、京都を訪れる観光客は一気に増えますが、京都の桜の季節には「花冷え」という言葉があります。これは、桜が開花するうららかな春に、一時的に寒さが戻ってくる、寒の戻りを指す言葉です。不意の寒さに備えた上着を用意し、桜の名所の散策やお花見をお楽しみ下さい。
見所
- お花見 円山公園に咲く祇園の夜桜と呼ばれるしだれ桜
- 城南宮 方除け・厄除け、車のお祓いの神社・春・秋の「曲水の宴」
- 葵祭
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強烈に照りつける南国の太陽や、寝苦しい蒸し暑い熱帯夜などとは異なる一種特有の暑さが京都の夏の特色です。盆地という地理的特性のため、風が少なく、高い湿気を含んだ空気は京都の街を覆い、さらに南国の太陽とまでにはいかないものの、じりじりと照りつける薄日により、体を動かさなくても汗がにじみ出てきます。これが、京都の「油照り(あぶらでり)」と言われる夏の暑さです。また、耳をつんざくようなクマゼミの大合唱もうだるような暑さに拍車をかけます。京都の街を歩き、噴出した汗に意識朦朧とする中、神社やお寺の境内にある大樹の木陰に入ると、油照りの暑さも一瞬にして和らぎます。木々の間を吹き抜けるさわやかな風に、古の都の人々も感じたであろう清涼感に体を包まれることでしょう。
見所
- 祇園祭
- 五山の送り火
- 京都鴨川納涼床
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夏の暑さも終わり、初秋の涼やかさを感じ始める頃、京都は「新涼」の季節となり、観光客が一年の内で最も多く訪れます。紅一色に染まるこの時期は、京都が情緒溢れる古都として一番美しく映えます。ハゼノキが染まった後、楓が色づく紅葉の見頃は、例年11中旬から12月中旬です。また、落葉した紅葉、黄葉、褐葉が一面に境内や参道の石畳の上に広がる様は見る者の心をとらえます。観光客の少ない静寂な時間帯に落葉を踏みしめると、微かではありますが足下から聞こえる雅な落葉の音に風流を感じることでしょう。
見所
- 初秋の萩 秋の七草のひとつ。開花は9月中旬頃。
高台寺や梨木神社(萩の名所として有名で、毎年九月の第三または第四日曜日前後に萩まつりが行われます。) - 時代祭
- 清水寺の紅葉
- 初秋の萩 秋の七草のひとつ。開花は9月中旬頃。
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京の底冷えと言われる凛とした寒さの中、鴨川沿いの遊歩道を散策すると、吐息の白さの先に、鴨川で列をなして泳ぐゆりかもめの群れが、心休まる光景として目に入ります。紅葉の季節に終わりを告げ、色を失った冬の京都を歩いてみると、小路の竹垣の上に咲く赤い寒椿の美しさなどに心を奪われることがあります。淡雪の日、白雪に映える寒椿の紅の鮮やかさは格別です。
見所
- 南禅寺・水路閣 散策、湯豆腐
- 東寺弘法市 終い弘法
毎月21日に東寺の境内で開催されている弘法市には、骨董屋、古着屋、植木屋などの露店が軒を連ねます。一年の締めくくりの12月の市は、終い弘法(しまいこうぼう)と言われ、1,000軒以上の露店が出店され、全国から多数の観光客が押し寄せ大いに賑わいます。 - 伏見稲荷大社 初詣(ご利益 商売繁盛)